ハウスクリーニング業の確定申告

ハウスクリーニング業をスタートして間もない個人事業主の方に向けて、確定申告の流れや申告方法、必要書類の準備、青色申告と白色申告に違いなどについて解説していきます。初めて確定申告に不安を感じている方はぜひご覧ください。

そもそも確定申告とは?

今までサラリーマンをしていた方は、月々の給与や賞与から会社が源泉所得税を差し引いて納めていたので、自分で確定申告を行ったことはなかったでしょう。

しかし日本の所得税は、納税者が得金額と税額を計算して納税する「申告納税制度」が基本です。そのため個人事業主になった方は、前年度の1年間の売上と経費の記録をもとに確定申告書を作成し、税務署に提出する義務が生じます。課税される所得金額は次のように計算されます。

  1. 収益-経費(仕入代金や人件費など)=所得(事業の儲け)
  2. 所得-所得控除(基礎控除など)=課税所得金額

この課税所得金額をもとに、規定の税率計算をすると納税額がわかります。

確定申告が必要な人とは

確定申告な必要な人たちは次の通りです。

  1. 自営業・フリーランス・個人事業主
  2. 不動産、その他で所得を得ている人(家賃収入や売却収入、競馬などの払い戻し金など)
  3. 株取引などで利益を得ている人
  4. 一定額以上の公的年金を受けている人(年間400万円以上など)
  5. 給与所得が2,000万円を超えている人
  6. 給与以外に年収20万円以上の副業をしている人
  7. 複数の会社から給与を得ている人

ハウスクリーニングの個人事業主は上記の[1]に該当します。1月1日から12月31日までの1年間の収益から経費や各種控除額を差し引き、黒字であれば所得税が発生するため確定申告を行う義務があります。

つまり、事業で得た収入から経費を差し引いた所得が基礎控除の48万円以下である場合は、確定申告をする必要がないことになります。基礎控除とは所得控除の1つです。年間所得の合計が2,400万円以下であれば控除額48万円を無条件に受けられます。

確定申告から個人事業主が支払う税金とは?

確定申告で個人事業主が支払うのは所得税だけではありません。その他にも下記のような税金を支払うことになります。

確定申告時に納付する税金

確定申告の締め切り日までに個人事業主が納付する税金は、「所得税」と「消費税」「復興特別所得税」です。

  • 所得税
    「収入-(経費+各種所得控除)=所得税対象額」に対してかかる税金
  • 消費税
    2年前の売上、または1年前の1~6月の売上が1,000万円を超える個人事業主は支払う義務が生じる
  • 復興特別消費税
    復興施策に使われる税金

確定申告後に納める税金

確定申告をしたあとに、各部署から通知されて支払う税金です。

  • 住民税
    市町村民税と道府県民税の2つを合わせた税金。所得税から計算された金額が通知される
  • 国民健康保険税
    所得税から計算された金額が通知される
  • 個人事業税
    事務所や店舗がある都道府県に納める税金。確定申告の所得税から計算される

確定申告の流れ

基本的な確定申告の流れは次のようになります。

  1. 確定申告に必要な書類をそろえる
  2. 確定申告書と決算書を作成する
  3. 確定申告期間内(例年は2月16日から3月15日)に管轄の税務署にて確定申告を行う
  4. 納付期限内(例年は3月15日まで)に所得税を納付(※)

※所得税対象額がゼロまたは赤字の場合は不要です。

確定申告はいつからいつまで?

確定申告書の提出期間は、毎年2月16日から3月15日までです。もし締め切り日が土曜や日曜の場合は、翌日(または翌々日)の月曜までが期限日です。支払う所得税の納付期間日も同じく3月15日までとなります。

しかし2020年分の確定申告期間は、新型コロナウイルス感染拡大の懸念から1ヶ月申告期間が延長されています。そのため2021年は2月16日(火)から2021年4月15日(木)までが申告および税金の納付日となっていました

確定申告の窓口はどこ?

確定申告の窓口は税務署です。直接税務署へ行って提出する方法のほかに、インターネット(e-Tax)・郵送・税務署に設置される時間外収集箱への投函も可能です。

確定申告の初日や期限日締切直前になると税務署は大抵混雑します。e-Tax・郵送・時間外収集箱の方法なら、税務署の窓口が閉まっていても提出できるメリットがあります。

しかし事業主として初めて確定申告を行う場合、経費をどの項目に入れるべきかわからないなどの不明点があるかもしれません。そんな時は直接税務署に行って、プロの指導に従い手続きするのも1つの方法です。

確定申告に必要な書類

個人事業主が申告する場合、「青色申告」と「白色申告」という方法があります。このふたつは帳簿付けの方法、そして青色申告は所得控除を受けられることが大きな違いです。青色申告と白色申告については後ほど詳しく紹介します。

まずは確定申告に必要な書類を見ていきましょう。

白色申告書

  • 確定申告書 B
  • 源泉徴収票(給与所得などがあった場合)
  • 収支内訳書
  • 各種控除関係の書類

青色申告書

  • 確定申告書 B
  • 源泉徴収票(給与所得などがあった場合)
  • 収支内訳書または青色申告決算書(※)
  • 各種控除関係の書類

※10万円控除の場合は収支内訳書、55万円控除の場合は青色申告決算書

各種控除関係の書類とは、収入から支払った社会保険料や生命保険料、一定額以上の医療費、寄付金などを証明する書類のことです。これらの証明書を添付することで、控除を受けることができます。

個人事業主が確定申告を行うメリット

「年間の事業収入-(経費+基礎控除)=48万円以下」である場合は、確定申告をする必要はありません。ただ、個人事業主としては、たとえ赤字だったとしても確定申告を行ったほうがさまざまなメリットを受けられる可能性があります。

確定申告の控えが収入証明になる

住宅ローンや賃貸住宅の契約、保育園の入園などに「収入証明」が必要になるシーンがあります。企業や公務員に務めている人であれば、12月末に受け取る源泉徴収票が該当しますが、フリーランスや個人事業主は「確定申告書の控え」が自身の収入状況を証明できる公式な収入証明となります。

繰越控除・繰り戻し還付を利用できる

青色申告の確定申告をした方は、赤字を3年間にわたって繰り越せる「繰越控除」というシステムが利用できます。事業をスタートして間もない個人事業主場合、初期投資や軌道に乗るまで経営が不安定なことがあるはずです。

例えば事業をスタートした昨年の申告は150万円の赤字。しかし今年は400万円の黒字になったという場合、今年の黒字分から去年の赤字分を差し引き250万円の黒字として税金を算出し、所得税を減らすことができるのです。

反対に「繰戻し還付」という制度も利用できます。繰越控除とは逆に、今年の赤字を前年などの黒字から差し引き、所得税の還付を受けることができるのです。

還付金がもらえる可能性

年の途中で公務員やサラリーマンから個人事業主に転向した場合、確定申告を行うことで前職の給与から引かれていた源泉所得税が還付されるケースがあります。

市民税・国民健康保険料が自動的に算出される

確定申告は所得税を納めるためのものですが、そのほかにも確定申告の結果は「住民税」や「国民健康保険料の算定」にも使われます。確定申告を行えば、税務署から自動的に在住している市区町村に所得情報が通達され、住民税や国民健康保険料が計算されるのです。

所得がゼロや赤字の場合は確定申告義務はありませんが、自身で「市民税・県民税申告書」を提出する必要は生じるので、確定申告する手間とあまり変わりません。

計算した結果、赤字や利益ゼロの場合であっても、総合的にメリットが多いので申告したほうがよいでしょう。

ハウスクリーニング業の確定申告ガイド

確定申告というシステムについて紹介してきましたが、ここからはさらにハウスクリーニング業を営む個人事業主が行う確定申告ガイドをまとめていきます。

青色申告と白色申告

個人事業主の確定申告は、白色申告と青色申告という2つの制度から選ぶことができます。昔の確定申告書類の背景色が、「白」または「青」だったことから呼び分けられましたが、現在は用紙の色に違いはありません。

この2つの申告方法の異なるポイントは次の通りです。

  • 青色申告は事前に税務署へ申請書類を提出する必要あり
  • 帳簿付けの方法
  • 白色申告は控除項目がない

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

節税効果の高い青色申告

青色申告を選択する場合、税務署へ事前に申請書を提出しておく必要があります。申請のない場合は、自動的に白色申告扱いとなるので注意しましょう。

また青色申告は帳簿の付けかたで、「10万円控除」または「55万円控除」を選択することができます。

  • 10万円控除
    「単式簿記」にて収支内訳書&確定申告書Bを提出
  • 55万円控除
    「複式簿記」にて青色申告決算書&確定申告書Bを提出

さらにパソコンからの電子申告(e-Tax)を行えば、「55万円控除」に10万円控除が加わり65万円の控除が受けられます。

つまり利益が大きな個人事業主は、e-Taxにて青色申告するのが一番お得だということになります。

単式簿記とは、取引を1つの科目にしぼって記録する方法です。家計簿や小遣い帳などが単式簿記にあたります。

複式簿記は2つの科目で取引を記録してその両面を表す方法です。たとえば現金でパソコンを使った場合、パソコンが増える(費用の増加)・現金の減少(資産の減少)という2つの側面を表す帳簿の付け方です。

シンプルに申告できる白色申告

白色申告は、確定申告前に特に申請する書類はありません。青色申告の申請書を提出していない事業者は、自動的に白色申告になります。

帳簿の記帳は必要ですが、単式簿記で構いません。容易に帳簿を作成できるメリットはありますが、特別控除額はゼロなので節税対策は望めません。

経費として認められる費用

ハウスクリーニングの個人事業主としてスタートした人にとって、どのような支出が経費算入として認められるのか?どの項目に加えるべきなのか?と悩む方は多いのではないでしょうか。

こちらでは経費科目についてまとめています。

経費として認められるかは業務上必要なのかがポイント

税務署が経費として認める基準は「業務上、明らかに必要な支出であるかどうか」です。

ハウスクリーニング業であれば、クリーニングに必要な備品類、営業先へ向かう車両やガソリン代、広告宣伝費、物件賃貸、人件費などが必要経費になります。

青色申告決算書には下記のような勘定科目があるので、業務上で必要なものならば迷うことなく記入できるでしょう。

勘定科目
  • 租税公課:事業税・登録免許税・印紙税・消費税・事業用車両の自動車税
  • 水道光熱費:仕事で使った水道代・電気代・ガス代・灯油代
  • 荷造運賃:宅配便代・ダンボールやガムテープなどの梱包用品・商品の運送費
  • 旅費交通量:仕事で使った交通費や宿泊費
  • 通信費:仕事で使った電話代・インターネット使用料・切手代
  • 広告宣伝費:チラシや新聞広告・インターネット広告代
  • 接待交際費:取引先との飲食代・お中元やお歳暮代・従業員との飲食代
  • 損害保険料:事業用車両の保険料・事務所or店舗の火災保険料
  • 修繕費:事務所や事業用車両の修理費や維持管理費・パソコンの修理など
  • 消耗品費:10万円未満、もしくは法定耐用年数が1年未満のものを購入した時の費用・文房具、パソコンなどの事務用品
  • 減価償却費:固定資産として計上した高額な資産を一定期間計上する費用(パソコン・車両・コピー機・カメラなど)
  • 給料賃金:雇用している従業員の給与と賞与
  • 福利厚生費:従業員の慰安や医療など
  • 専従者給与:青色事業専従者に支払う給与
  • 外注公費:業務を外部委託業者へ依頼した費用
  • 利子割引料:金融機関から融資を受けた際の支払い利息・自動車ローンなど
  • 地代家賃:事務所や店舗、駐車場などの賃借代
  • 貸倒代:取引先の事情で回収できなかったお金
  • 雑費:どの勘定科目にも属さない少額経費

経費は指定された勘定科目に分類して計算していきます。簿記の知識がない人でも、これらの項目に沿って領収書の金額を帳簿に記入していけば困ることはないでしょう。

迷ってしまう項目は?

業種によって税務署から認められやすいものと認められにくいものがあります。

例えば「スーツ」です。

2012年の税制改正によって、サラリーマンであればスーツ購入が経費として認められるようになりました(特定支出控除)。これは会社員にとってのスーツは、制服と同じ位置付けであるという考え方からです。

しかしハウスキーパー業の場合は、営業などでスーツを着用するシーンがあったとしても、原則スーツ代は経費として認められません。それはそのスーツが仕事時だけの着用か明確ではないからです。

就業時に着用する制服や作業服であれば、消耗品費として計上できます。

また自宅を兼事務所にしている事業主もいるのではないでしょうか。その場合、事業で使用している部分は経費として認められます。例えば自宅面積のうち4割を事業に使用しているならば、家賃の4割が経費として認められます。

e-taxでの確定申告が便利

e-Tax(イータックス)とは、インターネットを通じて確定申告が行える国税庁のサービスです。所得税の確定申告の手続き以外にも、相続税申告や贈与税申告、酒税納税申告などが税務署へ行かずに手続きできます。

所得税確定申告に関してe-Taxでできること

  • 確定申告書A、B
  • 白色申告用の収支内訳書
  • 青色申告決算書
  • 個人事業の開業・廃業等届出書
  • 所得税の青色申告承認申請書など

e-Taxのメリットとは

e-Taxを利用するメリットは、自分の都合のよい時間に合わせ、24時間いつでも書類を提出できることです。平日の貴重な業務時間内に税務署へ行ったり、長い待ち時間を過ごすといった無駄がなくなります。

電子帳簿保存かe-Taxで青色申告すれば、最大65万円の控除を受けられることも大きなメリット。e-Tax以外の青色申告提出方法では、10万円控除、または55万円控除しか選択できません。

またe-Taxであれば、生命保険料控除といった各種証明書や源泉徴収票は金額を入力でOK。提出する必要はありません(原則としてオリジナル書類の5年間保管は必要)。

e-Taxにマイナンバーカードを利用すれば、IDとパスワードが不要になり、さらに簡単に確定申告を行えます。

こういう時どうするの?確定申告のQ&A

こちらではQ&A方式でよくある質問に答えていきます。

【Q】領収書がない!レシートでもOK?

領収書を紛失したようです。レシートはありますが、それで認められますか?

【A】高額なものでなければレシートでも大丈夫

領収書やレシートが申告に必要とされるのは、客観的に記載された金額が客観的に証明できるためです。多くの場合はレシートで問題ありません。

しかし高額な金額になると、領収書がないと経費として認められない場合が多くなります。

また領収書があったとしても、発行者名や宛名がない、日付がない、項目がないなどは「その領収書が証拠にならない」と判断されるので、領収書を発行してもらう際は気をつけましょう。

【Q】12月に業務、支払いは翌1月…確定申告の年度は?

2020年12月にハウスクリーニング業務をしましたが、その支払いは2021年1月に入ってから振り込みされました。この収入はどちらの年度に入れるのでしょうか?

【A】2020年の確定申告分に入ります

12月に仕事をしたものは、たとえ支払いが翌年になっても2020年分として確定申告に含めてください。入金された日付ではないので注意しましょう。

【Q】事業とプライベートで携帯電話を兼用している時は?

携帯電話を事業とプライベートで兼用しています。この場合どのように申告すればいいのでしょうか?

【A】事業用で使用した分を経費計上

原則としては、明細書を確認して事業用で使用した分だけを計算します。しかし、実際には使用した電話を1本ずつ確認するのは困難ですし、定額プランを利用している場合はさらに難しくなります。

一般には事業と私用で携帯電話を利用している利用割合を出して、経費に計上します。事業で7割使用しているならば、携帯電話の使用料の7割を通信費に計上してください。

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